Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

旧聞日本橋

だから私はすべて襖のそとへ手をついて――只今という機械人形のようなおとなしさだ。この祖母は、ぞんざいな者が傍へくると、近よらないさきから足を踏まれない用心に、あいたあいたと言った。と、いかなぞん気ものでも吃驚して立止まるか静かにあるくかする。一挙両得、叱らずに叱られずにすむ妙諦である。

そんな家から小官員さんの新家庭へゆくと、伯母さんは多い毛をお釜敷のような束髪にねじって、襟なしの着物で、おかみさんでもひっかけ(帯の結びよう)でなしに、ちりめんの前掛けも締めないで、机のような大きなお膳へ白い布をかけて、夕飯の時には若い牧師さんも来て座って、いろんなお皿が出てもすぐ食べないで、鉄ぶちの眼鏡をかけたその若い牧師さんが、小さな本を開いて、なんだかブツブツ言うと、みんな頭を垂れていて、終いにアーメンと呟やいて額と胸とに三度十字をきる。でも、大人でも、よっぽど待どおしいと見えて十字は実に早くやる、お茶碗もすぐ口にもってゆく。食物は家のよりまずいが牛乳の缶は毎朝台所にぶらさがっている。伯母さんは鶏卵の黄身をまん中にして白身を四角や三角に焼くのが上手だ、駿河台へニコライ堂が建つとき連れてってくれたのもこの伯母さんだ。