Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

あたしの家の真向こうに――三立社の尻にこの辺にはあるまじいほどささやかな、小さな小屋で首を振りながら、終日塩せんべを焼いているお婆さんがあった。その隣家はこんもりした植込みのある――泉水などもある庭をもった二階家で、丁度そこの塀を二塀ばかりきりとって神田上水の井戸があるのを、塩せんべ屋のお婆さんが井戸番をしているようなかたちだった。あたしの家の裏の井戸は玉川上水だった。

その二階家は「炭勘」という名の――炭屋勘兵衛とでもいったのだろう。鼈甲細工屋のになっていたが、黒い三巾の垂れ暖簾に※の白ぬきのれんが、鼈甲屋とは思わせない入口だった。尤もそこは青柳という会席料理だったのだそうで、炭勘はその後から前へ進入したのだ。お茶屋があったからというわけではなかろうが、その隣りに阪東三弥吉という女の踊りの師匠がいた。その側に、私の父の俥をうけもって、他に曳子を大勢おいていた俥宿があった。

なんで細かく此処まで書いたかというに、前にも言ったように、私の家のならびは、窓ひとつもない、塀と土蔵裏と、荷蔵ばかりつづいているその向う側であるからで、俥宿までの町並は二間半たらずだが、そこからぐっと倍も広がっている。