Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

火喰鳥が空をまわってるからこの火事は大きくなるなどとろくな事はいわなかった。でなくてもこの火事はあるべきものとしてこの近辺の者には予想されていたのだった。松島町の方に火柱がたつということは毎夜噂されていた。祖母をさすりに毎晩交替でくる、栄良だの栄信だのという小あんまたちまでが、自分たちも見たように咄すのだった。私たちも怖々夜更けに出て見たことがある。そういえば気のせいか、下の方は見えないで、一抱え以上もある火気が――丸い柱が、ポッと立っているように思えたのだった。

書生たちは早くからあつまってきた。河岸を廻って細川様(浜町清正公様)のさきから、火事場の裏からでなければはいれまいと父も洋服を着て出ていった(その前までは刺っ子を着るのだったが)。火事場の中には、テンコツさん一家の一人に、肺病で寝ている、来春大学を出る法律書生の、父のたった一人の甥もいたから、家のものは案じきっていた。

と、大通りの勢いのよい人たちに突きのめされながら、薄いきもの一枚で、葛籠を肩にした青い少年がフラフラと現われた。待ちには待っていたが、手厚く連れてこられるものとして待ちかまえていた女たちはそれを見ると戦慄た。