Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんちゅう 

春昼・春昼後刻

泉 鏡花

Lesen Sie 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.079 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

十

「否々、大財産家の細君でございます。」

「違いました、」

と我を忘れて、呟いたが、

「そうですか、大財産家の細君ですか、じゃもう主ある花なんですね。」

「さようでございます。それがために、貴下、」

「なるほど、他人のものですね。そうして誰が見ても綺麗ですか、美人なんですかい。」

「はい、夏向は随分何千人という東京からの客人で、目の覚めるような美麗な方もありまするが、なかなかこれほどのはないでございます。」

「じゃ、私が見ても恋煩いをしそうですね、危険、危険。」

出家は真面目に、

「何故でございますか。」

「帰路には気を注けねばなりません。何処ですか、その財産家の家は。」

十

菜種にまじる茅家のあなたに、白波と、松吹風を右左り、其処に旗のような薄霞に、しっとりと紅の染む状に桃の花を彩った、その屋の棟より、高いのは一つもない。

「角の、あの二階家が、」

「ええ?」

「あれがこの歌のかき人の住居でござってな。」

聞くものは慄然とした。

出家は何んの気もつかずに、

「尤も彼処へは、去年の秋、細君だけが引越して参ったので。丁ど私がお宿を致したその御仁が……お名は申しますまい。」

「それが可うございます。