Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lesen Sie 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.079 Zeichen · 102 Bildschirme
「恋しき人を見てしより……夢てふものは、」
とちょいと顔を上げて見ると、左の崕から椎の樹が横に出ている――遠くから視めると、これが石段の根を仕切る緑なので、――庵室はもう右手の背後になった。
見たばかりで、すぐにまた、
「夢と言えば、これ、自分も何んだか夢を見ているようだ。やがて目が覚めて、ああ、転寐だったと思えば夢だが、このまま、覚めなければ夢ではなかろう。何時か聞いた事がある、狂人と真人間は、唯時間の長短だけのもので、風が立つと時々波が荒れるように、誰でもちょいちょいは狂気だけれど、直ぐ、凪ぎになって、のたりのたりかなで済む。もしそれが静まらないと、浮世の波に乗っかってる我々、ふらふらと脳が揺れる、木静まらんと欲すれども風やまずと来た日にゃ、船に酔う、その浮世の波に浮んだ船に酔うのが、たちどころに狂人なんだと。
危険々々。
ト来た日にゃ夢もまた同一だろう。目が覚めるから、夢だけれど、いつまでも覚めなけりゃ、夢じゃあるまい。
夢になら恋人に逢えると極れば、こりゃ一層夢にしてしまって、世間で、誰某は? と尋ねた時、はい、とか何んとか言って、蝶々二つで、ひらひらなんぞは悟ったものだ。