Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lesen Sie 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.079 Zeichen · 102 Bildschirme
白魚のような指が、ちょいと、紫紺の半襟を引き合わせると、美しい瞳が動いて、
「失礼を……」
と唯莞爾する。
「はあ、」と言ったきり、腰のまわり、遁げ路を見て置くのである。
「貴下お呼び留め申しまして、」
とふっくりとした胸を上げると、やや凭れかかって土手に寝るようにしていた姿を前へ。
「はあ、何、」
真正直な顔をして、
「私ですか、」と空とぼける。
「貴下のようなお姿だ、と聞きましてございます。先刻は、真に御心配下さいまして、」
徐ら、雪のような白足袋で、脱ぎ棄てた雪駄を引寄せた時、友染は一層はらはらと、模様の花が俤に立って、ぱッと留南奇の薫がする。
美女は立直って、
「お蔭様で災難を、」
と襟首を見せてつむりを下げた。
爾時独武者、杖をわきばさみ、兜を脱いで、
「ええ、何んですかな、」と曖昧。
美女は親しげに笑いかけて、
「ほほ、私はもう災難と申します。災難ですわ、貴下。あれが座敷へでも入りますか、知らないでいて御覧なさいまし、当分家を明渡して、何処かへ参らなければなりませんの。真個にそうなりましたら、どうしましょう。お庇様で助りましてございますよ。ありがとう存じます。