Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
奉公人もみんな知っているくらいですから、主人が知らない筈はありません。だいいち女中だって一緒にいたんじゃありませんか」
「それもそうだな」と、半七は松吉と顔を見あわせた。「なにしろ勘蔵は気の毒だ。おれが行って備前屋に話してやろう。ちょっくら癒る怪我じゃあねえというから、なんとか掛け合って療治代ぐらい貰ってやらなけりゃあ、当人も可哀そうだし、ここの家でも困るだろう」
「何分よろしく願います。ですけれども、あの備前屋は町内でも名代の因業屋なんですから」
「吝でも因業でも理窟は理窟だ」と、松吉も口を尖らした。「そんなのを打っちゃって置くと癖になる。ねえ、親分。これから押し掛けて行って因縁をつけてやろうじゃありませんか」
「無理に因縁をつけるにも及ばねえが、ひと通りの筋道を立てて掛け合ってみよう」
その足で備前屋へ行くと、家のなかはまだ一向片付いていないらしく、ゆうべ持ち出したままの家財道具が店いっぱいに積み重ねられて、ほこりと薬の匂いが眼鼻にしみた。その混雑の最中にこんな掛け合いをするのも拙いと思ったが、半七はそこらに立ち働いている店の者をよんで、主人は家にいるかと訊くと、主人夫婦と娘とは橋場の親類の方へ立ち退いているとのことであった。