Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
半七捕物帳
一
「年代はたしかに覚えていませんが、あやつり芝居が猿若町から神田の筋違外の加賀ツ原へ引き移る少し前だと思っていますから、なんでも安政の末年でしたろう」と、半七老人は云った。「座元は結城だか薩摩だか忘れてしまいましたが、湯島天神の境内で、あやつり人形芝居を興行したことがありました。なに、その座元には別に関係のないことなんですが、その一座の人形使いのあいだに少し変なことが出来したんです。今時こんなことをまじめで申し上げると、なんだか嘘らしいように思召すかも知れませんが、まったく実録なんですからその積りで聴いてください。その人形使いのうちに若竹紋作と吉田冠蔵というのがありました。紋作はその頃二十三、冠蔵は二十八で、どっちも同じ江戸者でした。ああいう稼業には上方者が多いなかで、どっちも生粋の江戸っ子でしたから、自然おたがいの気が合って、兄弟も同様に仲がよかったんですが、それが妙なことから仇同士のような不仲になってしまって、一つ楽屋にいても碌々に口も利かないほどになったんです」
二人が不仲になった原因はこうであった。あやつり芝居が夏休みのあいだに、二人が一座を組んで信州路へ旅興行に出て、中仙道の諏訪から松本の城下へまわって、その土地の或る芝居小屋の初日をあけたのは、盂蘭盆の二日前であった。