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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme

Aozora Bunko

半七捕物帳

一

一

五月のはじめに赤坂をたずねると、半七老人は格子のまえに立って、稗蒔売の荷をひやかしていた。わたしの顔をみると笑いながら会釈して、その稗蒔のひと鉢を持って内へはいって、ばあやにいいつけて幾らかの代を払わせて、自分は先に立って私をいつもの横六畳へ案内した。

「急に夏らしくなりましたね」と、老人は青々した小さい鉢を縁側に置きながら云った。「しかし此の頃はなんでも早くなりましたね。新暦の五月のはじめにもう稗蒔を売りにくる。苗屋の声も四月の末からきこえるんだから驚きますよ。ゆうべも一ツ木の御縁日に行ったら、金魚屋が出ていました。人間の気が短くなって来たから、誰も彼も競争で早く早くとあせるんですね。わたくし共のようなむかし者の眼からみると……これでも昔は気のみじかい方だったんですがね……むやみに息ぜわしくなって、まわり燈籠の追っかけっくらを見せられているようですよ。この分では今にお正月の床の間に金魚鉢でも飾るようになるかも知れませんね。いや、今の人のことばかり云っちゃあいられません。むかしも寒中に金魚をながめていた人もあったんですよ」

「天水桶にでも飼って置いたんですか」