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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme

Aozora Bunko

いくら仇同士であろうとも、操りの人形に魂がはいって、敵と味方とが夜なかに斬り結ぶなぞという、そんな不思議が世にあろう筈がない。大方お前の寝ぼけ眼でなにかを見ちがえたのであろうと、冠蔵も始めのうちは唯わらっていたが、水右衛門の人形の額にゆがんだ打ち疵のあとを見つけると、彼は顔の色を変えた。自分の使っている人形の顔へ、なんの遺恨でこんな大疵をつけたのかと彼は紋作にはげしく食ってかかった。自分の人形が可愛さに、思わずその仇を手にかけたと紋作はしきりに云い訳をしたが、冠蔵はなかなか得心しなかった。

人形同士が斬り合ったという。いや、そんな筈がないという。所詮は双方が水掛け論で、ほかに証人がない以上、とても決着が付きそうもなかった。この捫著におどろかされて、ほかの者もだんだんに起きてきたが、この奇怪な出来事について正当の判断をくだし得るものは一人もなかった。ある者はそんな不思議がないとも限らないと云った。ある者は頭から馬鹿にしてその不思議を絶対に否認した。しかも紋作が水右衛門を打ったのは事実で、人形の額にたしかな証拠が残っていた。

冠蔵はそれを自分に対する紋作の嫉妬であると解釈した。