Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
着のみ着のままの彼はそれを待っていたように表へ飛び出して、どさくさまぎれの火事場泥坊を思い立ったが、あまりに風と火とが烈しいので、彼も思うような仕事が出来なかった。いたずらに火の粉に追われながら混雑の中をうろ付いていると、どこからか荒熊が暴れ出して来たので、かれはいよいよ面喰らった。しかもその熊がふたりの侍に退治されたのを見とどけて先ず安心したところへ、かねて顔を識っている車力の百助というのが来合わせたので、二人はすぐに相談して、その熊の死骸を引っかついで逃げた。熊の胆と熊の皮とは高い値であるということを、彼等はふだんから聞いていたからであった。
二人はともかくも其の熊を六三郎の家へかつぎ込んだが、素人の彼等はそれをどう処分していいかを知らなかった。二日ばかりは縁の下に隠して置いて、百助はそれを自分の知っている皮屋に売り込もうとしたが、相手は足もとを見て無法に廉く値切り倒したので、ふたりは怒って破談にしてしまった。さりとて生物をいつまでも打っちゃって置くわけにも行かないので、今度は品川から伝吉という男を呼んで来て、儲けは三人が三つ割にする約束で、夜ふけに熊の死骸を高輪の裏山へ運び出した。