Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
空はいよいよ明るくなって、裂けかかった雲のあいだから日の光りが強く洩れて来たので、半七は彼女を誘うようにして、路ばたの大きい榎の下に立った。
「ねえ、魚虎の帳面をみると、仕出しが時々にある。それは木場の旦那のだろう」
お千代は無言でうなずいた。
「それは判っているが、もうひとりのお客様だ。そのお客は四、五日ぐらい途切れて又来ることがある。きのうは来たんだね」
お千代はやはり黙っていた。
「そうして、日の暮れから出て行って、夜なかに帰って来たかえ。それとも今朝になって帰って来たかえ。なにしろ生魚をむしゃむしゃ食って、その骨を庭のさきなんぞへむやみに捨てられちゃあ困るね」
相手はまだ黙っていたが、一種の不安がさらに恐怖に変ったらしいのは、その顔の色ですぐ覚られた。
「ねえ、まったく困るだろう」と、半七は笑いながら云った。「あんな仙人だか乞食だか山男だか判らねえお客様に舞い込まれちゃあ、まったく家の者泣かせよ。あの人はなんだえ。うちの親類かえ」
「知りません」
「名はなんというんだえ」
「知りません」
「時々に来るのかえ、始終来ているのかえ」
「知りません」
「嘘をつけ」