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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme

Aozora Bunko

七夕まつりはその前日から準備をしておくのが習いであるので、糸いろいろの竹の花とむかしの俳人に詠まれた笹竹は、きょうから家々の上にたかく立てられて、五色にいろどられた色紙や短尺が夜風にゆるくながれているのは、いつもの七夕の夜と変らなかったが、今年は残暑が強いので、それは姿ばかりの秋であった。とても早くは寝られないので、どこの店さきも何処の縁台も涼みながらの話し声で賑わっていた。半七も物干へあがって、今夜からもう流れているらしい天の河をながめていると、下から女房のお仙が声をかけた。

「ちょいと、お粂さんが来てよ」

「そうか」と、云ったばかりで、半七はべつに気にも留めないでいると、つづいてお粂の声がきこえた。

「兄さん。ちょいと降りて来てくださいよ。すこし話があるんだから」

「なんだ」

団扇を持って降りてくると、お粂は待ち兼ねたように摺り寄って云った。

「あの、早速ですがね、おまえさんも知っているでしょう、甲州屋のなあちゃんを……」

「むむ、知っている」

半七の妹が神田の明神下に常磐津の師匠をして、母と共に暮らしていることは、前にもしばしば云った。そのすぐ近所に甲州屋という生薬屋があって、そこのお直という娘がお粂のところへ稽古に通っているのを、半七も知っていた。