Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
半七は甲州屋を出て、池の端へ行った。近所で女髪結のお豊の家をきくと、すぐに知れて、それは狭い露路をはいって二軒目の小さい二階家であった。
格子にならんだ台所で、三十三四の女が今夜のたなばたに供えるらしい素麺を冷やしていた。半七は近よって声をかけると、かれは主婦のお豊であった。ここに誰か倉田屋の人は来ていないかと訊くと、お豊は不安らしい眼をしてじろじろ眺めながら、誰も来ていないと冷やかに答えた。
「それでは、甲州屋さんから誰かまいって居りますまいか」
「いいえ」と、お豊はやはり無愛想に答えた。
「まったく来て居りませんでしょうか」
「来ていませんよ」と、お豊は煩さそうに云った。「一体おまえさんはどこから来たんです」
「甲州屋からまいりました」
お豊は黙って半七の顔を見つめていると、半七はにやにや笑いながら云い出した。
「いえ、御心配なさることはありません。わたしは甲州屋の藤さんに頼まれて来たんです。倉田屋のお紋さんと藤さんが始終ここの二階へ来ることもみんな知っています。御存じだかどうだか知りませんが、甲州屋のなあちゃんが昨日から家出をして今にゆくえが知れないので、家では大騒ぎをしているんです。