Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
水をのませても、水天宮様の御符を飲ませても、擦っても揺ぶっても、お直はもう正体がないので、彼女も途方にくれてしまった。
こうなっては、とても自分ひとりの知恵や分別にはあたわないので、お豊は汗を流しながら再び倉田屋へかけ付けた。かれはお紋の母を呼び出して、そっとこの始末を訴えると、母もびっくりして半分は夢中で駈けて来たが、死んでしまったお直を生かす術はなかった。表向きにすれば、お紋は無論に下手人である。この上はなんとかして此の事件を秘密に葬らなければならないと、母はお豊と額を突きよせて密談の末に、ようやく案じ出したのがお直の家出という狂言の筋書で、お力には母からよく云いふくめて、お直が途中からどこへか姿を隠したように甲州屋へ報告させてあった。師匠に当日叱られたということが、かれらに取ってはおあつらえ向きの材料で、お紋の母はそれから趣向をうみ出して、一個の狂言作者となりすましたのであった。
それにしても、お直の死骸をどこへか処分しなければならないので、お豊は更にお紋の母と相談の上で、谷中まで出て行った。そこに住んでいる石屋職人の千吉というのはお豊の叔父にあたるので、彼女は仔細をあかして死骸の始末をたのむと、千吉は慾に目がくらんで引き受けた。