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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんなはなしは聞きましたが、その売り先はよく存じません」と、其蝶は云った。「なんでも道具屋の惣八がいかものを持ち込んだとか云って、ひどく立腹していました」

「お葉という女は宗匠の妾ですかえ」

「さあ」と、其蝶は少し云い渋っていた。「なんだか世間ではそんなような噂をいたす者もありますが……」

「おまえさんは千住の元吉という男を識っていますかえ」

「知りません」

「その元吉が宗匠を殺したという噂だが……。おまえさん、まったく知りませんかえ」

「知りません」

「おまえさんは指を痛めているようですね」と、半七は突然に云った。

其蝶はだまっていた。半七は衝と寄ってその手首を強く掴んだ。

「どうして怪我をしたんだか、ちょいと見せてください」

半七はかれを引き摺るようにして台所の口へ戻ると、其蝶もやはり黙って曳かれて来た。そこにある蝋燭の火を借りて、半七は其蝶の右の小指を幾重にもまいてある新らしい紙を解くと、疵口にあててある白い綿にはなまなましい血がにじんでいた。半七はその手首をつかんだままで、黙ってかれの顔を睨んだ。其蝶も無言で眼を伏せていた。

「もういけねえぜ」

と、半七はあざ笑った。