Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
お元が質素にして故郷を出て来たのも、その嫁入先を秘密にして置かなければならない必要に迫られたからであった。お鉄は勿論その事情をよく承知していた。
これほどに苦労した甲斐があって、加賀屋の方ではなんの気もつかないらしく、お元は夫婦の仲も睦まじく、姑ともよく折り合って、一家円満に日を送っているので、本人は勿論、一緒に附き添って来たお鉄も先ずほっと息をついた。しかも足かけ三年目の秋になって、その平和を破壊すべき恐ろしい悪魔のかげが突然ふたりの女をおびやかした。それは隣り村の安吉という若い百姓であった。かれの母は取り上げ婆さんを職業にしていて、現にお元の生まれるのを取り上げた関係上、丙午の秘密をよく知っていた。勿論その当時、お元の親たちはかれに口止め料をあたえて秘密を守る約束を固めて置いたが、広い世間の口をことごとく塞ぐわけには行かなかった。ましてその伜の安吉がそれを知らない筈がなかった。かれは或る事情から江戸に出て来て、八幡祭りを見物に行った時に、偶然かのお元とお鉄とにめぐり逢ったのであった。
江戸と熊谷と距れているので、ふたりの女はなんにも知らなかったが、安吉が江戸へ出て来たのは、かの太田の金山の松茸献上がその因をなしていたのであった。