Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
お伝は何者にか喉笛を啖い切られて死んでいた。それだけでもすでに怖ろしい出来事であるのに、それにもう一つの怪しい噂が付け加えられて、更に近所の人々をおびやかしたのである。
それはこの晩、かの鼻緒屋のお捨を嚇したという怪しい娘によく似た女が、あたかもそれと同じ時刻に酒屋の裏口を覗いていたのを見た者があるというのであった。前後ともに暗い時刻であるので、よくその正体を見とどけることは出来なかったが、前の女も後の女もおなじく白地の手拭をかぶって、白地の浴衣を着ていて、どうも同じ人間であるらしいと思われた。そうして、その怪しい女とお伝の死と、そのあいだにも何かの関係があるらしく思われて来た。鼻緒屋の娘は運よく逃れたが、酒屋の下女は運わるく啖い殺されたのではあるまいか。こういう風に二つの事件をむすび付けて解釈すると、かれは一種のおそろしい鬼女であるかも知れない。鬼婆で名高い浅茅ヶ原に近いだけに、鬼娘の噂がそれからそれへと仰々しく伝えられて、残暑の強いこの頃でも、気の弱い娘子供は日が暮れると門涼みに出るのを恐れるようになった。
それでも鬼女の奇怪な事実はまだ一般には信じられなかった。