Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
高橋さん、どうしてなの」
「それはね、人間の皮膚には、いつでも水分があるからだよ」
高橋さんが、むずかしいことをいいました。
「え、水分って」
「夏は汗をかくだろう。あの汗はどこから出るか知っているかい。僕らの皮膚には、目に見えない汗やあぶらの出る穴が、数かぎりなくあるからだよ。これは先生に教わったことがあるだろう。冬だってやっぱり、そこから水分やあぶらが出ているんだよ。あんまり少くて目には見えないけれどね。だから、皮膚に強く息があたると、そこの水分が一ぺんにかわいてしまう。急にかわくものだから寒いというわけさ」
「急にかわくと、どうして寒いの」
「かわくというのは、水が水蒸気になって蒸発することだ。これも君は教わったことがあるだろう。庭に洗濯物がほしてあると、かすかな煙のようなものが、洗濯物から、もやもや立ちのぼっていることがあるだろう。あれは水蒸気だ。つまり太陽の熱のために水が水蒸気になって飛んで行ってしまうから、洗濯物がかわくのさ」
「それぐらいのこと知ってますよ、僕だって」
「ところで、水が水蒸気になるためには、かならず熱がいるのだよ。熱がなくては水はかわかないのだ。