Japanische Klassiker mit Furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Lesen Sie 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 67.333 Zeichen · 134 Bildschirme
冷たい火
どうだね、何とうまくできているじゃないか。神様はこんな小さな虫けらにさえ、これだけの智恵をおさずけになっている。この世界をおつくりになった神様の考え深さは、ほんとうに恐しいほどじゃないか」
伯父さんのお話を聞きおわった一太郎君は、いつか蜘蛛の曲芸を見せてもらった時と同じような、ふしぎな感じにうたれて、しばらくは口もきけませんでした。この世界というものは、ほんとうにすばらしい。どんな小さな生きものにも、何かしら、びっくりするような、神様の智恵があらわれている。その世界に生きているというのはなんて楽しいことだろうと、身にしみて感じないではいられなかったのです。
「伯父さん、そのトックリバチって、どこにいるんですか」
やがて、一太郎君は、ふと気づいたようにたずねました。
「どこにだっているよ。東京附近にはたくさんいるんだ。お前もトックリバチの巣をさがし出して、ファーブルのまねをして、中をのぞいて見るといいね」
伯父さんは椅子から立ち上って、一太郎君の肩に手をかけて、にこにこしながら、そうおっしゃるのでした。
冷たい火
八月のある暑い日の夕方のことです。一太郎君が、お母さまから言いつけられたお使の帰り道、近所の高橋さんの門の前を通りかかりますと、大学生の高橋一郎さんがそこに立っていて、一太郎君に声をかけました。