Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうおういぶん

東奥異聞

佐々木 喜善

Lesen Sie 東奥異聞 (とうおういぶん) von 佐々木 喜善 (ささききよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 63.862 Zeichen · 124 Bildschirme

Aozora Bunko

さてそれからはどこへもゆきえぬので立ち止まり行く手のほうを見るとある岩の上に一人の女が立っている。おやふしぎだ何者かと思ってよく見ると、それは先年死んだはずの村の娘である。狩人は驚いて、そこにいるのは某ではないか? というと、女もさも懐かしそうに下を見おろして、はいと答う。狩人はどうしておまえはこんな処にきておった。家ではおまえは死んだものとばかり思って嘆き悲しんでいるのにというと、じつは私は死んだように見せかけられて、こんな深山に連れてこられております。私を見たということを村に帰ってもけっしていってくれるなと女はいう。狩人はかさねてそれはどうした訳かと問うと、私は夫との間に幾人かの子どももあったが、夫はみなおれに似ぬからといってどこへか持っていってしまう。たぶん殺して食うことと思います。それがこわくつらくて幾度かこの山を逃げ出そうと思っても、もう心にそう思ってさえすぐに覚られてそれを責められる。いまはもう諦めてここで死ぬ決心をしております。夫は普通の人間とそう違いがないがただどうも疑いぶかくて困ります。そして私には普通の語で話すけれども、ときどき寄り集まってくる朋輩どもとは私にはまったくわからない言葉で話しております。