Japanische Klassiker mit Furigana
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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
Lesen Sie 東奥異聞 (とうおういぶん) von 佐々木 喜善 (ささききよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 63.862 Zeichen · 124 Bildschirme
二
おまけに木が雪で凍っているので、ブーブーとくすぶった。煙くって目が開かれぬほどであった。老媼は赤ただれした目に涙を止めどなく流し、私も袖で顔をおおいおおい話を聴いた。
老媼はアサのニソを指の先と口とで巧みに細く裂き分けて、長い長い一すじの白子糸をつくり、それを苧籠に手繰り入れつつ物語った。そうして話に興が乗ってくると、その苧籠をばくるりとおのが背後に回してやった。
二
この老媼から聴いた話はすべて百七十種ほどであった。その間には私が昔話聴きにいっているということを聞き伝えて、村の話好きの誰彼が寄ってきて話してくれたのがこれも三十ほどあった。それらを合すると二百以上の数になる。一個所でこれだけの収穫物があるということはたまらなく愉快であった。
けれどももともと昔話の収集は他の短いすじだけでもよろしい、処の口碑、伝説とは性質を異にしているので、相互のその日その時の気分しだいでその成績にも幸不幸があった。まったく機会の問題であった。私もこの老媼の家にざっと二個月も通ううちには朝から晩がたまでいながら他の話ばかりして、肝腎の話のほうをばほんの一つも聴かなかったことが十日以上もあったろう。