Japanische Klassiker mit Furigana
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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
Lesen Sie 東奥異聞 (とうおういぶん) von 佐々木 喜善 (ささききよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 63.862 Zeichen · 124 Bildschirme
三
そのハギの大木というのが、あの娘の果てたカツラの木で、それが葉や木肌がよくハギに似ているものだからいちじそうハギに化けたものでありました。それもこれもみな亡き娘の霊魂が恋人を思うあまりの兆であったことはいうまでもありません。それからはこの若者は一生そのハギカツラの木を妻だと思っておくったという話でございます。
三
陸中国上閉伊郡金沢村字長谷という所はごく山間の村落ですが、ここの大屋のカクチ(背戸垣内)に曲がりトチというて非常な巨木がありました。この巨トチの木はこの村の始まらぬ前からあったもので、そして村の草分けの家の大屋の守護神木でもありました。この樹木の片ほとりに谷川があり滝がかかってあって、そこをば滝明神と呼んで小さな祠などがありました。
その大屋という家に美しい一人娘がありましたが、妙齢になるにつれてその容色が近郷に並ぶ者なく美しさが増すばかりでした。この娘があるとき何心なく裏の曲がりトチの木の下で見知らぬ美男に会って話をしましたがそれからというものは、どうしてもその人のことが思い忘れられず、夕がたになるのを待ち焦れていては、そのトチの木の下に走りいって楽しい語らいをいたしておりました。