Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ますおとし

枡落し

山本 周五郎

Lesen Sie 枡落し (ますおとし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.765 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

と芳造は伝法な口ぶりで云った、「――そうじゃあねえのか」

「いせえがいいな、あんちゃん」幸助はまた横眼であたりを見た、「おめえ、そんな大きなことを云っていいのかい」

「そんなら辰に会わしてもらおう」芳造はふところを叩いた、「おまえさんたちにはけちな金かもしれねえが、三両といえば堅気の職人にはたいした金なんだ、ちゃんと本人に会って、生き証人になれるかどうかを慥かめたうえでなくちゃあ、渡せねえってのはあたりめえじゃあねえか」

「つまり」と幸助はまた横眼で左右を見た、「要するにおれが信用できねえってことだな」

「信用するかしねえかじゃあねえ、辰っていう人とじかに会いてえっていうことだよ」

「なめるな、若僧」と幸助は云った、「おらあ辰あにいからじかに聞いて、それならと猿屋町のうちまで捜し当てていったんだ、日当にしたってちっとやそっとのたかじゃあねえんだぜ」

芳造は思わず、にやっとした、「日当ね、なるほど」

「なにが可笑しい、なにを笑うんだ」

「笑やあしねえ、正直に日当なんて云われたんでほっとしたんだ」と芳造は云った、「その辰っていう人に会わせてくれたら、おまえさんの日当はべつに払ってもいいぜ」