Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme
「似ているからどうした」
「ですから、あなたのお話しをうかがっていると、すぐにおじさまのことを思いだしてしまうんです、お声は少し細いようだけれど、お話しぶりはそっくりですわ」
「父はこんなに饒舌りはしない」と帯刀は眼を伏せ、いくらか憂いのこもった調子で、呟くように云った、「父はいつも黙っている、これまで私は、父とゆっくり話した覚えがない、そんなことはいちどもなかったようだ、もしかすると、私が父に疎まれているのかもしれないが」
「そんなことがあるものですか」と宇乃はかぶりを振った、「あなたを疎むなんて、そんなことがある筈はありませんわ、おじさまはいつもお口数が少ないし、思っていることもお口には出さないで、心でかよわせる、という御性分ではないでしょうか」
「宇乃は、わかっているように云うな」
「ええわかっていると思います、わたくしにはよくわかるように思いますわ」
帯刀は宇乃を見た。宇乃は続けて云った。
「黙っていらしっても、おじさまのお眼を見ると、なにを考えていらっしゃるか、いまなにを欲しがっていらっしゃるか、宇乃にはすぐにわかりますわ」
「父がなにか欲しがることがあるか」