Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.285 Zeichen · 330 Bildschirme

Aozora Bunko

放鯉

「迷惑、滑稽、――」

「父上の夢を実現するために、私がなにかするなどということが考えられるかね、私は私だ、私は自分が是なりと信ずるように生きる、他人の希望に順応したり、掣肘されて生きるようなことは、私にはできない」

「つまり好き勝手なことがしたい、というわけか」

「つめて云えば、そうだ」

善右衛門は弟の顔を見た。

七十郎はかくべつ気負ったようすもなく、平然と兄を見返して、ではこれでと会釈した。善右衛門は辛抱づよく、まあ、よく考えてみてくれと云い、紙に包んだ物を渡して、戻っていった。

――金だな。

そう思って、歩きながら彼は、包みをひらいてみた。おそらく父が呉れたのであろう、小判と小粒とで二十両とちょっとあった。

「有難い、京へゆけるな」

七十郎はそう呟き、またちらちらし始めた粉雪の中を、小野の館に向かって歩み去った。

放鯉

年が明けて、正月二日に、――仙台城の二ノ丸で、幕府からの国目付の饗応が行われた。国目付は内藤新五郎、天野弥五右衛門の二人で、去年(寛文三年)の三月に着任し、この二月に交代する筈であった。

饗応の席には在国の一門家老が出席し、今年は伊達安芸が相伴した。