Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
傍らで妻も、眼頭を拭いている。そういう重篤な青年が、なぜ私に逢いたいのか、どんな用があるのか、それはわからぬがともかく、母親の言葉を聞いているうちに、私は今日までの不快がまったく、消え失せるのを覚えた。消え失せたばかりではない、いいようなく胸が痛んできた。
「では、これから、お伺いしましょう!」
「まあ、これからスグに?」
「いけませんか?」
「いいえ、飛んでもない! そうお願いできますれば、もうこの上ございませんけれど……でも、それではあんまり、押し付けがましいようで……」
と、母親の眼には、また涙がうかんでくる。ひとり息子の重病で、気が弱くなってちょっとした人の行為にも、スグ涙ぐんでいるのを見ると、今日までの二年間、親の方がどんなに苦しんでいたか私にも察しられるような気がした。
そうして上げて、貴方、そうして上げて頂戴! と、私の方を向いている妻の眼が、瞬いている。牡丹はもう散ったが、薔薇は花壇一杯、咲き乱れている。フーペルネ・デュッセとかグローリアス・デ・ローマとか、なるべく艶麗なのを選んで妻が花束を拵えているのを見ると、
「そんなにまでしていただいて……まあ、もう、結構でございますから、奥様」