Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
三
頭の芯がトロトロと微睡んでるような、それでいて好奇心が胸一杯にはびこって、眼が冴えてくるような、何ともいえぬ妙な気持がしてくるのです。
母親らしい人の姿は、ちっとも見当らぬけれど、なぜここの家には母親がいないのだろうか? そしてそれよりも、こんな人里離れた山沿いの淋しい海岸に、なぜこんな家だけが、ポツンと建っているのだろうか? 立派な父親と、綺麗な娘たちだけが住んでいて……なぞと取り留めもないことを思いうかべているうちに、そよそよした風に誘われていつかグッスリと、眠り込んでしまいました。
三
やっぱりくたびれ切っていたのでしょう? ほんの一時間か二時間、微睡むつもりでいたのに、私が眼を醒ました時はもう夕方とみえて、天井には電気が、……さすがに電気はないとみえて、これも故国の習慣なのかも知れません、部屋の隅には金の燭台に大きな西洋蝋燭が、二つも朦朧と照らしているのです。
見知らぬ異国へでも、彷徨い込んだような気持がして、寝呆け眼でぼんやりと、焔を瞶めているうちに、ハッとして私は跳ね起きました。いけん、ここは知り合いの家ではない! と、気が付いたのです。