Japanische Klassiker mit Furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.181 Zeichen · 219 Bildschirme
鉱山主の長女である姉妹の母親は、スパセニアが生まれると間もなく世を去って、姉妹とも母の味というものを、ほとんど知らないというのです。物心ついてからは、ただ父親の慈愛一つに育まれて、その時分姉妹の住んでいた本邸は、首府のベルグラード郊外、そこで三十人近くの召使に侍かれて、別邸は銅山の所在地のゼニツアの町に一つと、ボスニア・ヘルツェゴビナ州のサライエボという美しい都会にも、避暑用として一つ……。
ユーゴの銅山王マルコヴィッチの孫娘と呼ばれて、二人とも生まれて世の中の不自由というものを、何にも知らずに育ってきたというのです。ただ、どんなに多くの召使に囲繞せられても、母のない身の淋しさだけが、いわば唯一の淋しさだったということができましょう。
祖父も言葉を尽して再婚を勧めましたが、父親は違った母を持たせては子供たちが可哀そうだと、何としても再び結婚しようとはせず、大恩受けた祖父のために身を粉にして、その事業を助けてきました。その父親が、やっと故国へ帰ろうかという気になったのは、ジーナもスパセニアも大分大きくなった頃……心血を注いだゼニツア銅山が、押しも押されもせぬユーゴ一の大銅山になった安心があったからなのでしょう。