Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
」
次郎の頭には、馬田が提案した実乗院での送別会のことが浮かんで来た。
「もう誰か先生の送別会のことをいって来たんですか。」
「ああ。二三日まえ、馬田とほかに二三人、だしぬけにやって来て、そんな話をしていたよ。変なことを思いついたもんだね。」
「それはお断りになったんでしょう。」
「むろん断ったさ。しかしあの連中も罪が深いね。まだ辞令も出ないうちに、送別会の交渉に来るなんて。しかも場所が実乗院と来ている。」
朝倉先生は奥さんと顔見合わせて愉快そうに笑った。次郎は苦笑しながら、
「あんなこと、いけないと思ったんですが、どうせ先生がお断りになるだろうと思って、僕もいいかげんに賛成しておいたんです。」
「まあ、まあ。」
奥さんは手巾を口にあてて、しんから可笑しそうに笑った。
「しかし、それをお断りになったんなら、もうほかにうるさいことはないんでしょう。」
「そうでもなさそうだ。うるさいのは生徒ばかりではないからね。とにかく送別式は私の出発の日にやってもらいたいと思っている。式がすんだら、すぐその足で駅に行けるような時間にね。」
「え?」
と、次郎はおどろいたように朝倉先生の顔を見つめ、それから、奥さんの方に視線を転じた。