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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme

Aozora Bunko

「しかし――」

と、俊亮はまた血書の方に眼をやって、

「朝倉先生にはきっと叱られるね。」

「ええ、でも、それは仕方がありません。」

俊亮はだまってうなずいた。そしてしばらく何か考えていたが、

「ところで、これがうまく成功すると思っているかね。」

「成功させます。」

次郎はきおい立って答えた。俊亮は微笑しながら、

「しかし相手は役人だよ。日本の役人は中学生なんか相手にしてくれないんだぜ。」

次郎は、学校の卒業式に訓辞をよみにやって来る役人以外の役人をほとんど知らなかったが、その役人たちは、考えてみると、自分たちとはあまりにもかけはなれた存在のようだった。彼は今さらのようにそれを思って、何か心細い気がした。

「それに――」

と、俊亮は少し声をおとして、

「大巻の叔父さんの話では、朝倉先生の辞職の原因は五・一五事件の軍人を非難したからだっていうじゃないか。」

「ええ、しかし朝倉先生の言われたことは正しいんでしょう。」

「そりゃ正しいとも。たしかに正しいよ。」

「正しくってもいけないんですか。」

「正しいことで役人が動く世の中なら問題はないさ。しかし、床の上を歩かないでいつも天井にぶらさがっているような今どきの役人では、そうはいかないよ。