Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.724 Zeichen · 355 Bildschirme
彼は、何も考える気力がなく、ただいらいらした気持で町はずれまで来た。
町はずれからは松並木の土手が広々とした青田のなかをうねってつづいている。左は、ほぼ五六間ほどの川で、向こう岸もやはり松並木の土手である。旧藩時代のさる名高い土木家が、北山の水を町にひくために開鑿した水路だそうだが、いつも探さ一二尺ほどの清冽な水が、かなりな速度で、白砂の上を走っている。その水は町に流れ入る直前に直角にまがって一丁ほど東に流れ、もう一度直角に南にまがって、町はずれの橋の下をくぐっているのであるが、その角のあたりには、背丈ぐらいの渕が出来ており、夏になると、このへんの子供たちは、よくそこで水をあびる。土手をとおって通学している中学生の中にも、学校のかえり途には、子供たちにまじって水をあびて行くものが少くはない。次郎もおりおりその仲間に加わる一人だが、きょうは、とくべつ暑かったにもかかわらず、そこを見むきもしないで通りぬけてしまった。それから五六分も行くと、一心橋という橋がかかっており、道をへだてて、駄菓子やところてんなどを売る小さな茶店がある。次郎は、その半丁ほど手まえに来たとき、今までうつむきがちになっていた顔をあげて、ふと向こうを見た。