Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

八 手紙

を本立からひき出して机の上にひらいた。しかし、かれの眼は、その中にしるされた文字に深くはいっていくようではなかった。かれは何度か髪の毛をむしり、ため息をついたあと、ばたりと「歎異抄」をとじ、その上に顔をふせてしまったのである。

八 手紙

それから四日目の、昼食後の休み時間のことであった。次郎が、葉の落ちつくしたくぬぎ林の、日あたりのいい草っ原で、四五人の塾生たちを相手に雑談をしていると、郵便物当番の塾生がやって来て、かれに一通の分厚な封書を渡した。見ると恭一からの手紙である。

同じ東京に住むようになってからは、しばしば顔を合わす機会も得られたので、これまで、恭一との間の通信は、おたがいに葉書ぐらいですませており、長い手紙など、一度もやりとりしたことがなかったし、それに、先日道江といっしょにたずねて来てもらった時のいきさつもあったので、次郎はその分厚な封書を受け取ると、心にかなりの動揺を感じ、もう落ちついて雑談などしておれなくなった。かれは、しかし、しいて平気をよそおいながら、無造作に手紙をかくしに突っこんだ。それから、立ちあがって背のびをしたり、両腕をふりまわしたりしたあと、一人でぶらぶらと赤松の林のほうに歩きだした。