Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
ある日、かれのそうした様子を見ていた茶目な一塾生が、四月八日の甘茶だといって、タオルにふくませた湯を、かれの頭上にたらたらとかけてやった。かれは、しかし、それでも身じろぎ一つせす、ただしずかに眼をつぶっただけで、その湯を最後までうけていた。それ以来、「お釈迦さま」というのが、かれの渾名になってしまったのである。
今日も大河は、その黙然たる姿でしばらく湯にひたっていたが、急に、何と思ったか、そのとろんとした眼で、すぐとなりにいた塾生の顔をのぞきこみながら、にこりともしないでたずねた。
「君は恋愛の経験がありますか。」
たずねられたのは青山敬太郎だった。かれは面くらったように、眼を見張って大河の顔を見ていたが、やがて、くすぐったそうに笑いながら、
「ありませんね。」
「ほんとうにありませんか。」
大河は真顔だった。青山も真顔になりながら、
「あれば、どうなんです。」
「ちょっとたずねてみたいことがあるんです。」
「どんなことでしょう。」
大河は、しばらくだまっていたが、
「恋愛の経験のない人にたずねても、答えが出るはずがありません。よしましょう。」
青山は苦笑して、