Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
そして読めば読むほど、底の知れない苦悩と、限りなく清澄な心境とに、同時に誘いこまれて行くような気がするのだった。むろん「弥陀」だの、「念仏」だの、「往生」だのという言葉は、かれにはまだ、十分には理解もされず、気持ちの上でもぴったりしない言葉であった。その点からいって、かれは、おそらく、親鸞の他力信心をそのまま素直に受けいれていたとは言えなかったであろう。しかし、それにもかかわらず、その中には無条件にかれの胸にくい入る何ものかがあった。それは、親鸞の徹底した真実性であり、つきつめた自己反省による罪悪深重の自覚であり、そしてその結果としての自力の絶対否定であった。「善悪のふたつ、総じてもて存知せざるなり」とか、「とても地獄は一定すみかぞかし」とか、「親鸞は弟子一人も持たずさふらふ」とか、「父母の孝養のためとて、念仏一返にても申したること未ださふらはず」とか、そういった一途な言葉に接するごとに、かれはおどろきもし、むちうたれもし、また同時に救われたような気もするのだった。
こうして、かれは「歎異抄」に親しむにつれ、これこそ人間の知性と情意との一如的燃焼であり、しかも知性をこえ、情意をこえた不可思議な心境の開拓を物語るものだ、というふうに考えるようになり、自分みずからその心境に近づくために、いよいよそれに親しむ