Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
「変わったことって、べつにないよ。……君の葉書は昨日見た。」
「見たか。しかし、あのことは、当分沈黙だ。今は、それどころじゃない。そんなことよりか――」
と興奮する声を強いておさえ、あたりをはばかるように、
「東京は大変なことになったんだぜ。」
「大変なこと? 何があったんだ。」
「真相はまだはっきりしないがね。とにかく宮城のまわりを軍隊がとりまいていて、あの辺の交通が自由でないそうだ。」
「ふうん。」
「重臣がだいぶ殺されたらしいという噂もとんでいる。」
「ふうん。」
「総理大臣官邸はたしかにやられたらしいんだ。そのほか、どういう人がやられたかわからんが、何でも、二人や三人ではないらしいよ。」
「ほんとうかい。」
「どうも、ほんとうらしいね。」
「すると、全くの叛乱じゃないか。」
「そんな風に思えるね。クーデターと言ったほうが適当かもしれんが。」
「なるほど。とにかく大変だね。街は大さわぎだろう。」
「大さわぎというより、今のところ、不安で身動きができないといった形だ。」
「オフィスや商店は戸をしめているのかい。」
「そんなことはない。丸の内付近はどうかわからないが、一般は、表面べつにまだ変わった様子は見せていない。