Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
かなりたって、塾生の一人が、だしぬけに、
「先生!」
と、叫んだ。田川大作だった。かれは自分のまえにおいた「二宮翁夜話」をにぎりこぶしで押しつぶすようにしながら言った。
「ぼくたちは、実は、こういうことになりはしないかと、とうから心配していたんです。」
田沼先生は返事をしないで、じっと、田川の顔を見つめたきりだった。すると田川は、
「ぼくは二年近く満州にいたんですが、あちらから見ていると、日本の政治はだらしがなくて、なっていないんです。」
「そういう見方もあるようだね。」
田沼先生が、あっさりそうこたえて、眼を朝倉先生のほうにそらしかけると、田川は追っかけるように、
「先生は、どうお考えですか。」
「私も、日本の政治がこのままでいいとは思っていない。しかし、だからといって、そのために、今度のような事件が起こるのもやむを得ないなどとは、なおさら思わない。日本には、憲法というものがあるからね。」
「ぼくは、政党がこんなに堕落していては、議会政治なんかだめだと思うんです。」
「なるほど。」
と、田沼先生はまじめにうけて、
「どうです、朝倉先生、今の意見は日本が憲法政冶を否定するかどうかという大問題をふくんでいるようですが、あとでじっくり時間をかけて話しあってみられては?」