Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
られたらしかった。ほとんど確実に死んだと見られていた岡田首相の生存の報が、この塾堂につたわったのは、もういくぶん刺激に慣れて来た三十日の朝だったが、それがあまりにも意想外であったために、一種のユーモアをまじえた好奇心をもって迎えられた。
新聞にせよ、ラジオにせよ、その報道の中に、たえす塾生たちを困惑させた一事があった、それは「蹶起部隊」とか、「行動部隊」とか、あるいは「占拠部隊」とかいう言葉が使用され、三日目になって、やっと「騒擾」という言葉が使用されたが、それもはっきり「叛乱」を意味するものとは思えないことであった。このことは、塾生たちの間に、しばしば先夜の研究会の論議をむしかえさせる種になり、また朝倉先生に対する正面切っての質問ともなった。そうした場合の朝倉先生の答えは簡単だったが、内容はいつも複雑だった。たとえば、
「何も知らない兵隊たちには、汚名を負わせないですめばそれにこしたことはないだろう。」とか、
「報道者の苦心はなみたいていではないだろう。ちょっとした文章や声の調子にもそれがあらわれているのがわかるね。」
とかいうのであった。
報道は一報ごとに不安と疑惑を増大せしめるようなものばかりであった。