Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
「私はそれでいよいよ気がかりになりましたが、それでも、それが私自身の問題に関係のあることだとは夢にも思っていませんでした。ところが、列車が静岡をすぎたころになって、それまで眼をつぶってばかりいて、ほとんど口をきかなかった父が、だしぬけに、お前はこれまで恭一君といっしょになるつもりでいたんだろうね、とたずねるのです。それがあんまりだしぬけであり、また、事がらが事がらだけに、私はもちろん返事ができませんでした。私がその時どんな顔をしたか、今から自分で想像してみましても、まるで見当がつきません。ただ、覚えていることは、父がそれっきり、また眼をつぶってしまい、おおかた十分近くもおたがいに口をききあわなかったことです。それほど私はその一言をきいただけで自分を取り失っていたのでした。沈黙のあとで、父は、今度はしいて笑いを浮かべながら話しだしました。私は今、父がどんな言葉をつかい、どんな順序で話したのか、とても思い出せませんが、私の頭にはっきり残りましたことは、恭一さんは私と結婚することなど夢にも思っていらっしゃらない、それどころか、ご自分と非常にお親しいお友だちで、死ぬほど私のことを思っていてくださる方があるから、私にぜひその方との結婚のことを考えてみるように熱心におすすめくだすった、ということでした。