Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
」
と、老人はかるく首をさげたが、顔の向きは少し横にそれていた。それから、背広の人にスリッパをはかせてもらって玄関をあがり、そろそろと塾長室のほうに手をひかれて歩きながら、
「田沼さんが青年塾をはじめられたといううわさだけは、もうとうからきいていました。わしも青年指導には興味があるんで、一度見学したいと思っていたところへ、つい昨日、ある人から今日の開塾式のことをきいたものじゃから、さっそくおしかけてまいったわけです。ご迷惑ではありませんかな。」
「いいえ、決して。……迷惑どころではありません。……理事長も喜ばれるでしょう。……実は、ごくささやかな、いわば試験的な施設だものですから、各方面のかたに大げさな御案内を出すのもどうかと思いまして、いつも内輪の者だけが顔を出すことにいたしているようなわけなんです。」
朝倉先生は、べつにいいわけをするような様子もなく、淡々としてこたえた。すると、荒田老人は、ぶっきらぼうに、
「これからは、わしもその内輪の一人に、加えてもらいたいものですな。」
朝倉先生も、それにはさすがに面くらったらしく、
「はあ――」
と、あいまいにこたえて、塾長室のドアをひらいた。