Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
今の形勢では役にたたないといったほうが本当だろうね。」
「先生!」
次郎は激昂して、
「ぼくたちは、これまで、日本の破滅をくいとめるために戦って来たんじゃありませんか。」
「むろんそうだ。」
「そんなら、それに役だつ方何に少しでも努力したらどうです。」
「今は愛情を育てることだけが、ただ一つの道だ。愛情を失っては、そのほかのどんなことに成功しても何の役にも立たない。」
「愛情だって、日本が破滅したら、何の役にも立たないでしょう。」
「愛情はあらゆる運命をこえて生きる。それは破滅の悲劇にたえて行く力でもあり、破滅の後の再建を可能にする力でもあるんだ。人間の社会では、愛情だけがほんとうの力なんだよ。それさえあれば無からでも出発ができるし、反対に、それがなくては、あらゆる好条件がかえって破滅の原因にさえなるんだ。」
次郎はまた考えこんだ。首をたれ、顔色が青ざめ、眼が凍ったように光っていた。かれはその眼をそろそろとあげ、じっと朝倉先生を見つめながら、
「先生は、すると、日本の破滅はもう必至だとお考えですか。」
「必至? それはわからない。悪の勝利ということもあるのだからね。