Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.443 Zeichen · 398 Bildschirme
――」
次郎は、いつもなら、朝倉先生がこの大事な一点にふれると、塾生たちのそれに対する反応を見ようとして、いそがしく眼をうごかすところだった。しかし、その時、かれの視線は、かれ自身でも気づかないうちに、荒田老のほうに引きつけられていた。ところで、かれにとって全く意外だったのは、荒田老がその時めずらしく、その木像のような姿勢をくずし、両手を口にあてて大きなあくびをしたことであった。かれが荒田老に予期していたものは、よかれあしかれ、もっと真剣な表情か、さもなくば全くの無表情だったのである。
かれは思わず歯をくいしばった。朝倉先生は、しかし、相変わらずしずかに話をつづけるのだった。
「かように、何一つ伝統もなければ、一人の指導者もいないところでは、おたがいがめいめいの知恵をしぼり、その協力によって組織を作りあげていくよりしかたがない。そこで、これからのここの生活にとって非常に大切なのは創造の精神である。諸君の中には、これまで、伝統や規則や、特定の人の指揮命令に従って行動するようにのみ訓練され、共同生活訓練といえば、だいたいそうした訓練だと心得ている者があるかもしれないが、ここでの生活はそれとは全くちがわなければならない。