Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
彼は、もう一度、古い部屋の壁や天井を見まわした。長押の下の壁の上塗が以前から一ところ落ちていて、ちょうど俯伏になった人間の顔の恰好をしていたのが、今日はいつもより大きく見える。鼠が騒ぐたびに、よく竹の棒を突き刺していた天井の節穴からは、煤ぼけた蜘蛛の巣が下っている。彼は、そうしたものを見ているうちに、以前ここに寝泊りしていた頃のいろいろの記憶を呼びもどして、甘えたいような、淋しいような、変な気持になっていた。
教室の方からは、先生や上級の児童たちが、大声で叫びかわしながら、がたぴしと物を動かしている音が、ひっきりなしに聞えて来る。
「爺さんはどこにいる?」
次郎はお浜に寄りそって、腰を掛けながら訊ねた。
「もういませんわ。昨日皆で行ってしまったの。」
次郎は、この二三日、お鶴が学校を休んでいたことを思い出した。
「どこへ行ったんだい。」
「遠いところ、……石炭を掘る山なの。……次郎ちゃんはそんなとこ行ったことないでしょう。」
「乳母やもそこに行くの?」
「ええ。……でも、……でも、ねえ次郎ちゃん、……」
お浜は急に鼻をつまらした。
「乳母やは行かなくてもいいんだい。