Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
二〇 旧校舎
二〇 旧校舎
その晩、お浜が別れを告げに来た時には、本田の一家も、流石にしんみりとなった。ふだん彼女の顔を見るのも嫌いだったお祖母さんまでが、みんなと調子を合わせて、十一時近くまで起きていた。そして、俊亮やお民が、お浜に二三日泊っていくようにすすめると自分もはたから口を出して、
「次郎もかわいそうだから、是非そうしておくれ。」とか、
「お正月も、もう近いことだし、どうせそれまでゆっくりしたらどうだね。」
とか言って、いやにちやほやした。お浜は心の中で、
(ふふん、そのご挨拶の気持も、どうせ明日まではつづくまい。)
と考えながらも、流石にいつもよりはずっと楽な気分になって、腰を落ちつけた。そして、すすめられるままに、一晩だけ、泊っていくことにした。
次郎とお浜は、同じ蒲団の中にねたが、二人とも、容易に寝つかれなかった。眠ったかと思うと、すぐ眼をさまして、何度も冷たい夜具の中で、かたく抱きあった。
しかし、翌朝次郎が眼を覚ました時には、お浜はもう寝床の中にはいなかった。次郎ははね起きて、家じゅうを探しまわったが、彼女の姿はどこにも見えなかった。彼は、昨夜彼女が風呂敷包を持って来ていたことを思い出して、そのありかを探してみたが、やはりそれも見つからなかった。