Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
「明日になすったらどうでしょう。こんなに暮れてからでは、余計おかわいそうですわ。」
「何時だって同じさ。まさか怖いことはあるまいよ。男の子だもの。」
「でも、こんなことは、やっぱり昼間の方がようございますわ。明日になったら、今度こそ本当にご得心がいくように、私から申しましょうから。」
「駄目よ、お前では。……いつも、あべこべに引きとめるようなことばかり、言って聞かすんだろう。」
「そんなことはありませんわ。とにかく明日までお待ち下さいまし。私もほんとうに腹をきめているのですから。」
次郎は淋しかった。彼の鼾はふるえがちであった。
「どうだか……」お民は、もう敷居をまたいでいるらしい。次郎の鼾はひとりでに止ってしまった。
「おやおや、奥さんでいらっしゃいますか。」
爺さんが、褌一つの皺だらけの体をのろのろと蚊帳の中で起した。
「坊ちゃん、おっ母さんだよ、ほら。」
爺さんの手が次郎の肩をゆすぶる。
「ううん。……ううん。」
次郎はもう一度寝返りをうって、自分の顔をお民からかくした。彼の耳は、その間にも、鋭敏に周囲を偵察している。
しかし、彼のあらゆる努力は結局無駄に終った。