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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

その感じが再び彼の胸にうずきはじめた。むろんその頃とは年齢もちがうし、お浜と春子との彼に対する関係が同じでないことぐらいは、よくわかっている。春子はただ友達の姉というに過ぎない。薬を貰いに行くたびにどんなに親しみをましていようとも、お浜に期待したものを春子にも期待していいとは決して思わない。道理の上では、それは十分納得のいくことである。しかし、それにもかかわらず、春子に対する彼の気持の上での期待は、お浜に対するのとあまり変らない。否、それが当面の生々しい問題であるだけに、遠い過去のそれよりも一層痛切であるとさえいえる。お浜はいわばもう絵に描いた乳母である。それがものを言わないのは淋しい。しかし、その淋しさは諦めのつく淋しさである。思い出してその絵を見る時だけの淋しさである。忘れていることも出来る淋しさである。期待と名のつくほどのものが彼の心に動くには、お浜は、あまりにも古い絵になり過ぎている。だが春子はまだ決して絵ではない。彼女のいかなる部分も生きて動いている。眼が笑い、唇がものを言い、髪が揺れ、白い指が薬壜をふっている。しかも、次郎にとっては、喜び以外の何者でもない唯ひとりの「姉」