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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

三八 再会

しかし、お民の病気は、すでにその頃は危篤に近い状態だったので、引きつづき休む方がよかろうということになった。

次郎は、実は一日も早く竜一に会ってみたかった。会って東京の様子もきき、また春子がいよいよ本式に上京するのはいつ頃になるのか、それも知りたかった。で、彼は、学校は三十分もかからないところだし、出来れば一寸でも出てみたい、と思わないではなかった。しかし、お民はこの数日、次郎の姿が見えないと、不思議なほど寂しがった。そして彼に薬をのませて貰ったり、手を握っていて貰ったりするのを、何よりの楽しみにしているらしかった。飲みたくない薬でも、次郎の手からだと、喜んで口にするというふうだった。

次郎にしても、母のその気持には、こみあげて来るような喜びを感じた。彼は、母を看護することによって、彼がかつて知らなかった純な感情を昧うことが出来た。彼の行為は、少くとも母の枕頭でだけは、偽りも細工もない、ひたむきなものになっていた。で、竜一に会ってみたいという気持も、彼を何時間も病室から引きはなしておこうとするまでには強く仂かなかった。

お民は、いよいよいけなくなる四五日前、枕元に坐っていた次郎の顔をまじまじと見ていたが、その眼を正木のお祖母さんの方に向けて言った。