Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
「お浜の居どころはわかりましたか知ら。」
次郎は、このごろ、お浜のことはほとんど忘れていた。彼には「お浜」という言葉が、全く耳新しくさえ響いた。それに、彼の記憶に残っている限りでは、母とお浜とは、仲のいい間柄ではなかった。だから、母のその言葉を聞いた時には、彼は喜ぶというよりもむしろ不思議に思ったくらいであった。お祖母さんは答えた。
「ああ、そうそう、まだお前には言わなかったのかね。何でも、駐在所の方に頼んで調べて貰ったので、よくわかったんだそうだよ。やっぱり今でも炭坑で仂いているんだとさ。」
「では、呼んで貰いましょうか知ら。」
「そうかい、是非会いたけりゃ、すぐにでも呼べるんだがね。でも、お前大丈夫かい。ひさびさで会って、気が立ったりしては、病気に悪いんだがね。」
実は、お浜には二三日前に、すでに正木の老人から手紙が出してあり、まさかの時には電報を打つから、すぐ来るようにと、必要な旅費まで送ってあるのだった。お祖母さんはそれをお民にかくしていたのである。
「大丈夫ですわ。」
お民はにっこり笑って、また次郎を見た。
電報がすぐ打たれた。次郎はそれから妙に浮き浮きしだした。