Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme
本田のお祖母さんは、やっと午後になってやって来た。そして死人の前に坐るなり、いかにも絶え入るような声で、いろいろとくどき立てた。臨終の間にあわなかった詫びが、先ず最初だった。それから、
「何という美しい仏様におなりだろう。」とか、
「子供を三人もこの老人に投げかけて、一人で先に行ったのがうらめしい。」
とか、
「どうして世の中には、こうさかさま事が多いのだろう。」とか、いったようなことを、次第に芝居じみてわめき立てた。俊亮は、それを聞きながら、眼のやり場に困っていたが、とうとうたまりかねて、
「お母さん、――お母さん――」と声をかけた。それでもまだ彼女が死人のそばを離れそうにないので、彼はいきなり立上って、彼女の肩をゆすぶり、叱るように言った。
「そんなに泣かれては、仏が迷います。それより念仏でも唱えてやって下さい。」
するとお祖母さんは、
「ほんとうに、まあ、老人甲斐もなく、取りみだして申訳もない。なむあみだぶ、なむあみだぶ。」と、けろりとした顔をして死人のそばを離れた。そしてそれからは、「なむあみだぶ」の連発だった。
次郎はむろんお祖母さんの闖入によって、ひどく気分をみだされた。