Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 159.223 Zeichen · 320 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、寝返りをうつ真似をしてだんだんと蚊帳の中にころがり込むことだった。彼は蚊帳に近づくまでは、かなり巧みにそれを実行した。しかし、いざ蚊帳の裾をまくるという段になって彼は当惑した。あまり手を使いすぎると、眼をさましていることが発覚しそうである。彼は先ず頭の方から這入る計画を立てた。しかし、何度転んでみても、いつも頭が蚊帳の裾に乗っかって、うまくいかない。で、今度は足の方から這入ることにした。これも容易には成功しなかったが、それでも頭ほどに不便ではなかった。それは、下駄を穿く時の要領で、うまく足指を使うことが出来たからである。

こうして、ともかくも、彼は腰の辺まで蚊帳の中に這入ることが出来た。蚊の襲撃から完全に遁れるためには、あとわずかな努力が残されているのみであった。彼はその努力の機会をねらって、一息入れながら、かすかに眼を開いて母の様子をうかがった。

すると、どうだろう、蚊帳の内側では、母がきちんと坐って、眼を皿のようにして自分の方を見つめているではないか。

次郎はもうこれ以上身動きしてはならないと思った。

実は母に覗かれているという意識があったればこそ、こんな手も使ったのであるが、こうまともに見られているのだとは、夢にも思わなかったのである。